送骨???
ある日テレビで「送骨」なる葬送を見ることがありました。「死後の後をみる人がいない」「葬儀をする人がいない」「墓を作っても誰も参る人がいない」等の理由でお寺へお骨を送るという。お一人\30,000という価格でゆうパックを利用してお寺へ骨壺を送りつける。その後,住職は約10分の読経を挙げて納骨堂へ納めるという内容。まことに簡単だが,どうも世間では受けている様子です。
実際に葬儀を挙げたり,墓の面倒をみる人がいないという事実は,私たちの周囲でも起きています。「散骨」「樹木葬」「直葬」「廟」など時代と共に葬り方にも変化が出てきました。しかし「送骨」ははたしてよいのかどうか?「分骨」「納骨」等と同じく骨の処理の仕方であって,葬儀ではありません。いくら費用が安くとも縁のない方のお世話まではなかかなできるものでありませんね。どうも法律的には骨を送ることは妨げるべき問題はないようですが・・・
取材を受けていたご住職は私の大変よく存じあげる曹洞宗の方でした。おそらく費用のかかる葬儀,引き取り手のない遺骨といった事情を考慮して取り組まれているのでしょうが,少し主旨が違ってきているようにも見えます。『無量寿経』には「独生独死,独去独来」とすべて生き死には一人で孤独です。それでも生まれた時,多くの人に誕生を喜ばれる方が多いわけですから,この世を去るときも盛大にお送りしたいものです。費用がなくともできる葬儀は必要です。料金体系を示して葬儀をあげる世界は確かに限界が来ています。2040年には亡くなると予想される自治体が4割と言われますが,やはりそこのある寺院も4割あります。とても維持できるとは思いませんが,信仰がなくなることはありません。必要とされる寺院となりたいものです。